学会について

日本検査血液学会の歩み

 一般社団法人日本検査血液学会は、検査血液学の向上と発展を目的として、2000年3月25日に設立されました。1990年代後半、血液検査を専門とする医師、臨床検査技師、研究者、産業界の関係者の間で、職種や所属の枠を越えて検査血液学について研究し、学び、議論する学術団体の必要性が高まりました。

 日本臨床検査医学会、日本臨床衛生検査技師会、日本血液学会、日本血栓止血学会などに関係する有志による度重なる検討を経て、「検査血液について学び、語り合う」場として、本学会が誕生しました。設立以来、大学、医療機関、研究機関、企業などで検査血液学に携わる多様な人材が集い、活発な学術・教育活動を展開してきました。2015年1月1日には一般社団法人へ移行し、2026年7月現在、会員数は4,400名を超えています。

 本学会は、医師、臨床検査技師、研究者、企業関係者をはじめとする多職種が、それぞれの専門性を生かして協働することを大切にしています。検査血液学に関心を持つすべての人に開かれた学術団体として、質の高い検査を通じて医療と社会に貢献することを目指しています。

検査血液学とは

 検査血液学は、血液および造血組織を対象とする検査を通じて、疾患の診断、病態の把握、治療方針の決定、治療効果の評価などに貢献する学問領域です。

 血液検体は採取後の時間や保存条件などの影響を受けやすく、その適切な取り扱いには専門的な知識と技術が求められます。血球数や血球指数を正確に測定する血球計数検査に加え、末梢血液や骨髄にみられる細胞の特徴を捉える形態学的検査は、現在も検査血液学の重要な基盤です。

 さらに、フローサイトメトリーを用いた細胞表面抗原検査、染色体検査、遺伝子関連検査、分子病態解析などの進歩により、血液疾患をより詳細かつ迅速に評価することが可能になっています。近年では、検査機器の高度化に加え、デジタル画像解析、人工知能(AI)、情報科学を活用した検査診断支援の研究と実用化も進みつつあります。

 血栓・止血検査も、検査血液学を構成する重要な領域です。血友病をはじめとする出血性疾患だけでなく、静脈血栓塞栓症、播種性血管内凝固(DIC)、血栓性微小血管症など、さまざまな血栓性・出血性病態の診断と治療に不可欠な役割を担っています。

 このように検査血液学は、伝統的な形態学と最新の検査技術を融合し、日常診療から高度医療までを広く支える、発展を続ける学問分野です。

活動内容

目的

本学会は、検査血液学に関する研究、標準化、教育および情報発信を推進し、検査血液学の向上と発展を通じて、医療の質の向上と人々の健康に貢献することを目的としています。

1.研究の推進

血液疾患ならびに血栓・止血異常の診断に関する研究を推進します。
主な研究領域には、次のようなものがあります。

  • 血液疾患の検査診断法
  • 血球計数および血球分析
  • 末梢血液・骨髄の細胞形態
  • 血栓・止血関連検査
  • フローサイトメトリーおよび細胞性免疫検査
  • 染色体検査および遺伝子関連検査
  • 分子病態解析
  • デジタル画像解析および人工知能を活用した検査診断支援
  • 新たな検査技術および検査診断システムの開発

基礎研究、技術開発および臨床研究を結び付け、研究成果を日常診療へ還元することを目指します。

2.血液学的検査の標準化

 施設や測定方法による結果の差を可能な限り小さくし、全国どこでも信頼性の高い検査を提供できるよう、血液学的検査の標準化を推進します。
 主な対象領域は、次のとおりです。

  • 血球計数検査
  • 血液細胞形態検査
  • 血栓・止血関連検査

 標準化委員会を中心として、標準的な検査法、基準分析法、形態判定基準、用語および報告方法などを検討し、指針や学術情報として発信します。また、国内外の関連団体と連携し、わが国の成果を国際的な標準化にもつなげていきます。

3.教育および人材育成

検査血液学を担う人材の専門性を高め、次世代へ継承するため、継続的な教育活動を行います。

  • 認定血液検査技師制度の運営と推進
  • 認定骨髄検査技師制度の運営と推進
  • 学術集会の開催
  • 冬季セミナーをはじめとする教育集会、講演会および講習会の開催
  • 症例検討やケースカンファレンスを通じた実践的教育
  • 検査指針、標準的手法および最新知見の普及
  • 若手会員および次世代を担う人材の育成

 基礎から最新の知識・技術までを継続的に学ぶことのできる環境を整え、経験年数や職種を越えて互いに学び合う機会を提供します。

4.学術情報の発信

 学会誌『日本検査血液学会雑誌』を発行し、検査血液学に関する原著論文、症例報告、総説、技術報告、学会活動および最新情報を発信します。

 学会誌はメディカルオンラインを通じて電子的に閲覧でき、会員は無料で利用することができます。電子媒体の利点を生かして、会員が必要な学術情報に迅速かつ容易にアクセスできる環境の充実を図ります。

また、ホームページなどを活用し、学会活動、教育機会、標準化に関する成果、関連領域の情報を広く、分かりやすく発信します。

5.学術交流および連携

 学術集会や各種教育事業を通じて、医師、臨床検査技師、研究者、企業関係者など、多様な職種・分野の会員が交流し、議論できる機会を提供します。

 国内の関連学会、団体および関係機関との協力を深めるとともに、国際的な学術交流や標準化活動にも積極的に参画します。職種、世代、地域および所属の違いを越えた連携を促進し、新たな研究や技術の発展につなげます。

6.医療・社会への貢献

 検査血液学の専門的知見を医療現場と社会へ還元し、血液検査の質と安全性の向上に貢献します。

検査の臨床的価値を適切に評価し、医療制度の中で必要な検査が適正に実施されるよう、検査料を含む検査の評価や運用上の課題についても検討します。さらに、医療従事者だけでなく、患者さんや社会に対しても、血液検査の役割と重要性を分かりやすく伝えるよう努めます。

目指す学会像

本学会は、伝統的な形態学と最新の科学技術の双方を大切にしながら、検査血液学の未来を切り拓いていきます。

研究を推進し、検査を標準化し、人を育て、情報を広く発信することによって、会員とともに成長する開かれた学会を目指します。